だけど、俺は教師でお前は生徒
「とりあえず、あとで話を聞くから。放課後、職員室へ来い」



俺は精一杯の教師らしいセリフで、その場を逃れた。



「……はい」



校舎の中へと入っていく澤村の後ろ姿。



俺は見えなくなるまで目で追っていた。



「さぁ、遅刻するぞ!!急げっ」



最後の生徒を通すと、俺たち教師も駆け足で教室へと向かう。



いつもと同じ朝。同じ光景。



何も変わらないはずなのに、なんだかおかしい。



さっきの澤村の言葉が頭から離れない。



転校……澤村がいなくなる……そればかり考えてしまう俺がいた。




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