だけど、俺は教師でお前は生徒
震える声が静かな応接室に響く。



「お母さんのこと、大好きなのに……。ダメなの……お母さんを軽蔑しそうな自分しかいなくて」



「理解しようとしても理解できないこともあるんだよ。澤村が悪いわけじゃない」



「お父さんが……かわいそう。お母さんはお父さんを裏切って……だから、だから……」



涙を堪えながら話す澤村を、ただ見つめることしか出来ない俺。



俺は立ち上がり、澤村の座る隣に腰を下ろした。



「三嶋先生……あたし、あたし、どうしたらいい??」



「大丈夫、大丈夫だから。泣くな……」



俺はそう言いながら、そっと澤村を引き寄せ、頭を撫でた。
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