だけど、俺は教師でお前は生徒
「今日の最後の挨拶、やけに落ち着いてたな??」



「そうかな……? なんていうか……実感がないだもん……。夏休みが終わってもまたあの教室に行って、みんなと会って……それから三嶋先生とも会える気がして……」



その日の夜、電話越しに聞こえる澤村の声は、心なし元気がなかった。



「大丈夫か?? 美波、ムリしてないか??」



「うん。平気だよ。お母さんも頑張ってるし、あたしが支えてあげないとね」



「なんかあったら、いつでも俺に言えよ。俺にはそれくらいしかできないから」



今の俺にできること……俺はお前に何をしてやれるのか。



「ありがとう……三嶋先生がそう言ってくれるだけで充分だよ」



引っ越し先の新しい住居も決まり、俺がそばにいてやれるのもあとわずかだ。
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