だけど、俺は教師でお前は生徒
俺のアイスコーヒーを見て、堀池先生が店員を呼ぶ。



「追加で、これと同じアイスコーヒーをください」



「はい。かしこまりました」



堀池先生の声に、さっきの店員が爽やかな笑顔で答えた。



「話ってなんですか?」



いくら違うとはいえ、同じ職場の教師が二人っきりで会うってのは、正直避けたい。



なるべく早く用件を聞いて、帰りたい……それが俺の本音。



「……それが、この前お話した弟のことなんです」



「弟さん?」



堀池先生の弟ってのは、つまり、澤村の母親の元恋人のことか。



「ずっと最近まで元気がなくって……仕事も休むことが増えて、なんだか抜け殻みたいになってしまっていて……」
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