ひとりあがり。
森下千里
「アンタ、そりゃしつこいって。『森下千里』みたい。」

明太子パスタをクルクルとフォークに巻き付けながら、みほいはハエを払うかのように言った。

「えっ?『森下千里』ってグラビアの?」
カルボナーラをクルクルと巻き付けながら、ワタシは答えた。

「そうだよ。『格付けけ』見てないの?」

「あの『ロンブー』が司会やってるヤツ?なんだっけ?『格付けされる女たち』だっけ?」

「される。じゃなくてし合うじゃなかった?『格付けし合う女たち』。だって『爆弾あびる優』も出てるんだよ。受け身じゃないでしょ。格付けし合うんだよ。」

「でももっと普通に『格付けする~』だった気もする」

「それはないよ。やっぱり『格付けし合う~』だよ。『魔王杉田』が出てるんだよ。やっぱガンガン攻撃し合うんだよ。」

ワタシはやっぱり『する』だと思ったけど、『魔王杉田』で妙に納得した。

魔王の前では絶対服従。

「で?なんでワタシが『森下千里』なの?」

「だからアンタはストーカーってこと。」
みほいの歯にフォークが軽く当たってカツンといった。

「『森下千里』ってストーカーなの?あんなカワイイのに?」

「カワイイからって男運良いとは限らないでしょ。」
歯に糸着せないこんなみほいをワタシは時々尊敬する。

「やっぱ、ワタシしつこいのかな?」

「当たり前じゃん。元カレのブログ毎日チェックして、おまけに着うたになったからってダウンロードした?アンタさ、オナニーもいい加減にしな。」

チョット。
イラッとした。
みほいが食べている明太子パスタのタラコが全部孵化してしまえばいいのに。

ワタシがイラッとしたのが解ったのか、みほいは急に真面目な顔をした。

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