ひとりあがり。
「えっ?なんで!」

つい、大きな声を出してしまった。

嫌われたんじゃないかと思ったからだ。

「いや、ジュンと住むのが嫌だとかそんなんじゃなくてさ、むしろ一緒に住みたいんだけどさ、家賃がね。キツイんだ。」

「だから、一緒に住んで半分にする予定でしょ?」

「いや、半分にしてもひとり4万6000円じゃん。ちょっとキツイな。」

ワタルは本当にお金がなかった。
それに、その夏には、ライブへの出演依頼が急に増え、バイトもなかなか出来ずにいた。

苦しいんだけど嬉しい悲鳴をワタルはあげていた。

応援したい。

ワタルのその嬉しい悲鳴を台無しにしたくなくて、ワタシはこう言った。

「じゃあさ、今のワタシの住んでる部屋、狭い1Kなんだけど、あそこならワタシのバイト代だけでなんとかなるから、ワタルさ。ワタシの部屋で住めばいいじゃん。」

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