ひとりあがり。
ナイチンゲールみたいな慈愛からでも、出来杉クンみたいに良い子に見られたいからでは無くて、ただワタルと一緒に暮らしてみたい。
ずっと一緒にいたいと思った。

「えっ?悪いじゃん。」

「大丈夫。ワタルは歌の事だけ考えてればいいよ」

そう。
大好きな歌と。
ワタシの事だけを考えていて欲しい。

「。。わかった。格好悪いかも知れないけど、少し考えてみていいかな?」

「考える必要ないよ。もう決まり。ワタシが決めた!」

ワタルとの生活を想像するだけで、景色がキラキラして来るみたいだった。

「ありがとう。ジュン。」

ワタルが柴犬みたいに笑う。

。。超カワイイ。

「あっ。そうだ。これ聞いてみてよ。」

ワタルがMDプレーヤーをワタシによこした。

「なに?」

「あのさ。ちょっとクサいかも知れないけど、ジュンとの事、曲にしてみた。」

柴犬が照れを隠すようにオデコを掻いた。

「まだ、歌入れって言って声しか入ってないんだけど。」

「えっ?ワタシとのこと?」

「ほら、ジュンと出会ってから今日までのこと。それからこれからのことを。かな。まぁいいから聞いてみてよ。」

ワタルがワタシの耳にイヤホンを押し込んだ。

ピッ。
MDプレーヤーの電源が入った。
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