ひとりあがり。
出会い

積極的な女

シンデレラはわざとガラスの靴を忘れたんだ。
そして白雪姫も白馬の王子様が通り掛かるのを見計らって、毒リンゴを食べたんだ。

「女ってね。そうやって自分からキッカケを作らなきゃ。」

大学生最後の夏。
学食で一番マシな味のカレーライスを食べながら、みほいがそう語った。

なんでも。
ワタシは奥手過ぎるらしい。

「みほいが積極的なだけだよ。」

「違うよ。アンタが世間とズレてるのよ。だって明日香だってさ。」

「明日香がどうしたの?」

「ほら、最近ウチらと付き合い悪いじゃない?あれさ。男出来たからだよ。」

「嘘!誰よ相手!」

明日香はおとなしい子だ。
大学でさえ、ワタシとみほいくらいしか話す相手がいないのかってくらいの子だ。

「ほらさ、この前、立教の男と合コンあったでしょ?」

「あっ。ワタシが熱出してドタキャンしたヤツだ。」

「そう。それにさ。明日香を誘ったのさ、アンタの代りに。そしたらさ。」

みほいが眉間に皺を寄せた。
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