あたしの居場所
泣かない、絶対に泣くもんか
少し歩くと川の流れる音が微かに聞こえる
聞こえる方へ走ると川が流れていた
綺麗な川の水
あたしの住んでる町の川はこんなきれいな水は流れていない
「おい」
低い男の子の声が聞こえる
振り返ると中学の制服を着た男の子があたしを見下げてる
「お前、どっからここ来た?」
「分かんない...」
「道に迷ったか。アンタ、怪我してるじゃん。コケた?」
ほっぺに手が触れる
あたしは焦って後ろを見せる
大丈夫...
気付かれてない...
「走ったからコケちゃいましたっ」
作った笑顔で男の子に笑う
「座れよ、そこ」
川辺の草原を指差す
あたしは言われた通りに座る
「どっから来た?」
「分かりません...」
「道に迷ったのか?」
「蝶を追っかけたら分からなくなって...」
「お前...中学生だろ?蝶なんか追いかけるか?」
飽きれる男の子