あたしの居場所


泣かない、絶対に泣くもんか


少し歩くと川の流れる音が微かに聞こえる


聞こえる方へ走ると川が流れていた


綺麗な川の水


あたしの住んでる町の川はこんなきれいな水は流れていない


「おい」


低い男の子の声が聞こえる


振り返ると中学の制服を着た男の子があたしを見下げてる


「お前、どっからここ来た?」


「分かんない...」


「道に迷ったか。アンタ、怪我してるじゃん。コケた?」


ほっぺに手が触れる


あたしは焦って後ろを見せる


大丈夫...


気付かれてない...


「走ったからコケちゃいましたっ」


作った笑顔で男の子に笑う


「座れよ、そこ」


川辺の草原を指差す


あたしは言われた通りに座る


「どっから来た?」


「分かりません...」


「道に迷ったのか?」


「蝶を追っかけたら分からなくなって...」


「お前...中学生だろ?蝶なんか追いかけるか?」


飽きれる男の子






< 5 / 82 >

この作品をシェア

pagetop