スノードロップ
奇跡
あれから一週間がたった。これといって事件もなく、もちろん、進展はない。
「愛実!」
「匡斗君?何~」
「数学の宿題みして」
「しょうがないなぁ…」
あたしと匡斗君は、あの日から、なんか意気投合して仲良くなった。
彰護が言ってたのは嘘っぱちかょ!!
匡斗君が渋谷でバンはってるなんてね…ありえないっしょ。
「愛実と匡斗君って、いい感じだよね」
「え!?何急に…」
「二人は何処までいってんのぉ?」
「やめてよ郁…。ただの友達だよ」
「にしては匡斗君と居るとメチャメチャ楽しそうだけど」
「え…まさか~」
…よく考えてみると、確かにあたしは匡斗君といると楽しい。
でも、恋とは違う。だってあたしには…。

「うち的に、匡斗君は愛実の事好きだよ」
「え!?」
「愛実には黙ってたけど、実はうち、匡斗君から相談受けてたの。
だから、確実に愛実の事好きだよ」
「でも、あたしはあの男の子が…」
「ねぇ愛実、この際だからキッパリ言うわ。諦めなよ。
名前も居場所も知らないんでしょ?無理だよ、いい加減現実見なよ!」
「ッッ郁に何がわかんの…。あたしにはあの人しか居ないの!
何でわかってくれないの…?」
涙が止まらない。郁があんな事言うなんて…。信じてたのに。
裏切られたようで悲しかった。

わかってる。わかってるよ!無理なことぐらい、言われなくてもわかってる。
でも、奇跡を信じたいの。0%でも、0.1%の可能性でも、
その可能性を信じたい。あの笑顔を、もう一度見たいから…。
あの、天使のような笑顔に、もう一度巡り合いたいの…。
ダメかな?ちょっとぐらい夢見みてもいいんじゃない??
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