A sweetheart is a ghost
それからお酒も入り、梓とワイワイ話した。

内容は梓の彼氏の智仁くんの話が中心。

智仁くんは22歳の大学生。

年下の彼ってヤツは大変みたいで愚痴ってばっか。

飲みばっかり行くくせに金がないって愚痴を散々繰り返してた。


「璃那もさ、早く恋して吹っ切らなきゃだめだよ。いつまでも想い続けてたらきっと潤一さんだって悲しむだろうし。」

梓は酔ってこう言った。

横にいる潤一ももちろん聞いてる。


「そうだよ、彼だって緒方さんが幸せになるのを祈ってると思うから。」


亀川さんも合わせて言った。

聞こえてるって…。

どうしよう…。


「そうだねって言え。」


横から潤一が口を出した。

パッと横を見ると


「バカ、こっち見るな。」

と言う。

その顔は苦笑いだった。


そんなわたしの行動を不思議そうに見つめてくる梓と亀川さん。


「そうですね…──。」


言った後に心がチクリと痛んだ。

やっぱり言いたくないよ、こんな言葉。


そのとき

「緒方さぁ~ん!!!緒方さぁ~ん!!!」


カウンターの方から酔っ払った久保くんが叫んでた。

そっちを見ると梓が


「アイツ、絶対璃那狙おうって思ってるな♪」

ってボソッと言った。


「久保……か。」

そう亀川さんも。


「勘弁してよ。」

わたしはそう呟き久保くんに手を振った。

それを潤一は見つめてた…。
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