A sweetheart is a ghost
それからお開きになり、わたしは帰ることにした。

みんなは2次会に行くみたいだけど潤一もいるし居辛い。


タクシーに乗ろうとすると一緒に亀川さんもわたしの左横に乗り込んできた。


「えっ…!?」


「送るよ。緒方さん家俺の家の通りがかりだし。」


いきなりのことに驚いた。

だって亀川さんはいつも酔った女の子がいる2次会には必ず行ってたから。

カモだしね。酔ってる人は。


「亀川さん、2次会は??」

信じられないという感じで聞いた。

「んー、今日は帰る。」


そう言うとわたしの肩にもたれかかってきた。

潤一の姿と重なったまま。


潤一の方を見ると目を逸らされた。

どうしよう…。


「そんな見つめないでよー。」

勘違いした亀川さんが言う。

違うっても言えないし。


「酔ってるんですか??」


おどおどしたようにそう言うと


「俺が?んなわけないじゃん。あんくらいで。」


フッと笑うように言った。

こんなのわざとしてるに決まってるじゃんって言い方。

めっちゃ迷惑だわ!!

女好きの亀川さんだし……わたし大ピンチ!!

大体何で黙ってるのよ、潤一!!!


「慰めてあげよっか??」

そう言うと肩から頭をあげ、右手でわたしの髪をさわる。

ヤバイ……ヤバイ……。


「そんな気分じゃないですから。」

ゆっくりと答えるとハハッと笑いながら亀川さんは


「うそうそ、冗談。えっと、ここを左に。」


そう笑って運転手に道を指示した。

冗談…!?タチ悪っ!!!

ムッとした顔を隠せてなかったと思う。
< 15 / 71 >

この作品をシェア

pagetop