A sweetheart is a ghost
左に曲がるとすぐにわたしの家。

右のドアはあかないから亀川さんが一度降りた。

もちろん一緒に潤一も降りる。


「ありがとうございました。」

ブスッと言った。

上司だし、怒っちゃいけないんだけどバカにされた気がしたから。


「怒っちゃって。わかりやすっ。でも冗談は半分だよ。せっかくフリーになったんだったら…狙おうかな、緒方さんのこと。じゃ、また明日。」


そう笑いながら勝手に言って亀川さんはドアを閉めさせた。


「ちょっ!!」


そんなわたしの焦った声は無視して走り去って行ったタクシーを見てた。


「モテますねぇ、璃那さん。」

皮肉たっぷりで言う潤一。

「そ、そんなことないし!!!」

焦って言うからかチカラがこもりすぎた。


「さ、帰ろ。」


潤一はそんなわたしの肩を抱きアパートの階段を登った。

どうしよう、このままじゃ潤一に嫌な想いばっかさせそう。

どうにかしなきゃ。


「潤一?わたしね、潤一以外の─…」


「俺、明日から家で待ってるから。」


わたしが言いたいことがわかってるかのように潤一は言葉を遮って言った。

わたしは”潤一以外の人には興味ないから。信じてほしい。”と言った後、”嫌な思いさせたくないから明日からは家にいて。”って言おうと思っていた。

まさか、心を読めるとか!?

でも言うわけにもいかないし

「うん、ごめんね。」

と小さく言うと潤一はわたしの頭を撫でながら

「璃那のせいじゃない。」

そう言って微笑みかけてくれた。


潤一、ずっといてくれるんだよね??

そう思って鍵をあげると玄関に入った瞬間潤一は激しいキスをした。


「じゅ…んっ…」

そして唇が離れると


「何で俺…死んだんだろ…。」

って突然泣き出した。
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