A sweetheart is a ghost
「潤一さん、夢とか出てきたりする?」

夢どころか現実に出てきてますが…。

言いたいけど言えないもどかしさ。


「夢、まだ見てないかな。最近寝たときに夢見なくって。」


「俺らさ、璃那の様子見ててあいつ後追いでもするんじゃねーかってめっちゃ心配してたんだぞ?」


笑い飛ばしながら言う拓也。

もう大丈夫だって思ったのかな??


「見ての通り♪そんなこと考えず頑張ってるし。」


そう言ったときだった。

トコトコという足音と一緒に潤一が帰ってきた。

拓也の姿を見てそれからわたしを見る。

わたしが玄関の方を見てたから拓也も


「何?」

とか言って玄関を見たけどもちろん潤一に気付くわけはない。


「ん、なんでもない…。」


そう言って拓也のお土産のたこ焼きを1つパクッと食べた。

黙ってベッドに横になった潤一。

気まずいけど拓也は仲良しって知ってるし、大丈夫だよね?

でもどこ行ってたんだろ?

親元かな?

でも帰ってきてよかった。

わたしはまた上の空になってた。


「今度潤一さんの年代が4年のときのメンバーで飲み会してみようだってさ。璃那も行くだろ?」


潤一が4年のときのサークル。

あの頃が1番面白かった。

わたしは潤一がすごい好きで、潤一もわたしを好きでいてくれてた。

お互いわかってるのにお互い言い出せなくて周りに言われて付き合うことになった。

あのメンバーに会えるけど…潤一はいない人のように目の前で言われるだろうし…。

考えてるわたしに拓也は


「璃那来なかったらみんな心配するし。ま、無理矢理連れて行くけどな。来週の木曜らしいから。あけとけよ。」

強引に言い、拓也もたこ焼きに手を伸ばした。
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