A sweetheart is a ghost
仕事が終わって潤一に言わなきゃ…って思って携帯を開いた。

つーか…携帯ないんだ。

いつもみたいに繋がってると思ったけど繋がらないんだよね。


「よし、行くよ♪」

終わると亀川さんは横に待機してたからわたしの腕を引いて強引に連れ出した。


「まだタイムカード…」


「押した♪」


ほんとに強引。

コートもまだ着てないのに。


「あの、どこ行くんですか??」


「おすすめの店、あるんだ。ごちそうするよ。」


そう言うと歩くペースをゆっくりにしてくれた。

ところどころで亀川さんに話しかけてくる女の子にも挨拶を忘れない。

こんなにモテるなら誘うの、わたしじゃなくてもいいだろうに。


「亀川さん、他の子と行ったほうが楽しいと思いますよ?」

ため息ながらに呆れて言うと


「いいじゃん♪親睦だよ、親睦。」


そう言ってわたしのカバンを持った。


「自分で持ちます!!」


「逃げないようにしとくだけー。」


そう言うと屋外の会社の駐車場に到着し、助手席のドアを開けてくれた。

わたしでも知ってるこの車。

潤一と同じ…ムラーノ。


「すみません。」


わたしが乗り込むとバンッとドアを閉めてくれてその何秒後かに運転席のドアが開き、亀川さんが乗り込んできた。


ちゃんと顔を見ると夕日と混じって本当に綺麗な顔つきだなって思った。


「なに?見とれた?」

ニヤニヤしながら言う亀川さん。

前言撤回。

間違いはないけど自信満々ヤローだ…。


「いや、いい車って思っただけで…──。」

そうやって否定をしておいた。
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