A sweetheart is a ghost
「っ…──。ごめんなさい。」


それを両手で拒んだ。

やっぱり潤一が…潤一が頭に浮かぶ。

絶対に無理。


「…まだ忘れらない?」

タバコを消しながら亀川さんは聞いた。

忘れられないんじゃなくて…いるから忘れるなんて考えてもない。

そんなことは言えないし…。


「まだそんな気には…。」

一般的だろう。

こんな言い方をしておいた。

軽い女とも思えないだろうし、きっと正解。


「わかった。俺もゴメン。あまりに可愛かったからついね。じゃ、帰ろうか。見せられて満足♪」


そう言ってまた車を走らせた。

わざわざ家から逆方向でかなり離れた山まで見せに連れてってくれたのかな?

きっと…亀川さん、わたしに気つかってるのかも。

落ち込んでるだろうから元気出したほうがいいって。

いい人だな、ほんと。

ちょっと手出しちゃっただけかもしれないし。

許そう、深く考えちゃダメだ。

相手は百戦錬磨の女好きだから。


そんなことを考えながら何度か亀川さんの話を聞きながら盗み見してた。


家には山から30分程で到着した。

部屋の電気は付いてない。

潤一、帰ってないのかな??


「じゃ、また明日。」


「ごちそうさまでした。気をつけて。ほんとありがとうございました。」


そう言って降りると車が発進するのを待ってアパートに向かった。

そこで…目が合った。


階段のところにいる潤一と。
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