A sweetheart is a ghost
昼から潤一の姿は見えなかった。

どこに行ったの??

すごく気になったけど連絡は取れない。

人に聞くこともできない。

潤一、いつの間にか消えちゃったら全くわかんないじゃん。

いつか帰ってくるかもってずっと待ってるじゃん、わたし。


仕事中なのに不安な思いが消えなかった。



そのまま退社し、まっすぐ家に帰宅した。

家に入ると潤一の姿。

顔だっていつもの潤一。

ホッとした。

それと同時に胸に飛び込む。


「おかえり。」

そう笑って言っていつものように抱きしめてくれた。

まだ同棲して2日くらいのラブラブカップルみたい。

でも不安だったんだもん、こうしたかったんだもん。


「今日、昼からどこ行ってたの?」

上目遣いで見上げて問うと潤一は笑って


「ん?ウロウロしてただけ。」

そう言った。


ずっと思ってた。

潤一、あの男のとこに行ったのかな?

潤一をひき殺したあの男。

きっと自由に行き来できるはず。

でも…やっぱりこのことは聞けない。


「そっか。楽しかった?」

心臓に耳をあてて聞いた。

ドクン・ドクン……──そんな音は聞こえない。

当たり前なのかもしれないけど妙に寂しくなる。


「ん。」

そう言ってわたしの頭をなでる。

潤一、知ってるんだよ。

潤一が「ん。」って返事するときは”うん”じゃなくて”いいえ”だって。

何があったの?
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