A sweetheart is a ghost
「璃那…なんかあった?どうした??」


近寄ってきてわたしのそばに座る潤一。

じゃあ教えてよ。


「いつまで……いてくれるの?」

虫の声程の小さな声だったと思う。

でも精一杯声にしたんだ。


見るからに潤一は困った顔してる。

言えないんだね。

ずっとはいてくれないんだね。


「璃那、ゴメンそれは…」


「嫌。潤一がいなくなったらわたし無理だよ。」


潤一の言葉を遮って言った。

無理だよ、ホント。

生きてなんていけないよ。

大好きなんよ。


パチッ。

乾いた音と同時に頬に痛みが走った。


「ふざけんな。無理とか言うな。俺はお前が死んだらもっと無理だ。」

いつもの笑った顔じゃなくいつになく真剣。


「こんなこと二度と言うな。時間の無駄だろ。時間、大切にしようぜ…。」


そう言うとガッとわたしを抱きしめてすすり泣く潤一の声が聞こえた。


「潤一…?」


「情けねぇ…。ほんとに…。ごめんな、ほんとに…。」


震えるようにわたしを抱きしめる潤一。

わたしもダムが決壊したかのように涙が溢れる。


「情けなくなんて…ないよ…。でも…行かないで…お願いだから。一人にしないで…グスッ。」


「璃那…。」


決してその夜潤一は”一人になんてしない。”なんて言葉は言わなかった。

昔からだらだもんね。

嘘は言わない。
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