A sweetheart is a ghost
「あのな、実は大事な話あるんだ。落ち着いて聞いてくれる?」

わたしの肩を掴んでわたしを少し引き離した。

真剣な顔をした潤一の姿。

それを見てコクンと頷いた。


「俺、あとこっちにいれるのは10日なんだ。でな、なんでこっちに戻れたのかというとあまりにも不慮の事故だったかららしく、大切な人と1ヶ月だけ過ごさせるってなんかの門の前で男が言ったんだ。でもその大切な人が俺が見えること誰かに話したら即終了っていうことも、このことを俺が璃那に話しても即終了ってことも。」


10日…。

突然のことすぎて口を開けてポカーンとしてた。

あまりにも突拍子すぎて。

あまりにも突然すぎて。

大体潤一がここにいることすらありえないことなんだけど…今聞いたことがあまりに次元が離れすぎてる気がした。

でもそのありえないこともあと10日…。


「1ヶ月だったら10日以上まだあるじゃん!!どうして!?」


潤一の太ももを揺すりながら聞いた。

なんでこのことを話してくれてるのかなんて気にもせず、なにしろ期限のことばっかり頭にあった。


「雪子に見られたから…。たまにいるらしいんだ。姿が見えるすっげー霊感強い奴。それが偶然そばにいる雪子だった。だから一時的にあっちの世界の男が俺の姿消して、璃那が俺がいるってことをみんなに喋らないか様子見るって言ったんだ。あと雪子がみんなに言わないか。でも言わなかっただろ?実は雪子も黙ってるんだ。だから戻っていいけど…他の人に一応バレたからあと10日だけだって言われた。そのかわり、全て話して10日の期限を思いっきり楽しめって。」


そんな……──。

短いよ、10日なんて。

言葉が出てこない。
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