A sweetheart is a ghost
「だって…喪服が…。潤一はわたしの目の前で…。」


「まだ言ってんの?だから言っただろ?俺、死んだって。で、俺のこと見えるのも触れるのも璃那だけだって。」


言われたけどそんなんで意味がわかるかーー!!!!


「どうして?!だって…死んだなら目の前に現れるワケ…」


「璃那、その質問にはわりーけど答えられない。言えることは俺はお前にしか見えない、触れないってことだけ。わかったら早く風呂に行けー!!」


そう言ってわたしの背中を押して風呂場に連れてってくれた。

幽霊ってことよね??

わたしにだけ見えるんだよね??

これだけしか言えないってこれだけで理解しろってほうがおかしいよ。

こわくはないけど…なんか違和感ありすぎて。

どうすればいい??

普通に接したらいいの??


身体を洗いながらずっと考えてた。

お風呂のお湯を触ると温かかった。

きっと潤一が貯めてくれてたんだ。


相変わらず優しいね。

やっぱり本物の潤一だ。

いいじゃん、別に。

そばに潤一が居てくれるんならそれでいいよ。

わたし、もしかしてラッキーなんじゃ!?

考え方が180度変わってきてた。


勢いよくお風呂場から出て、朝食を作ってた潤一の背中に飛びついた。


「うおっ、髪乾かせ!!寒いから風邪ひくぞ!?」


「潤一…──。本物だ。ありがとう、戻ってきてくれて。」


「…ほら、ドライヤーかけるぞ。」


ちょっと照れたように潤一はそう言ってその後わたしの髪を乾かしてくれた。

それから化粧をして出勤。

わたしにしか見えない潤一も一緒に行った。

どうせ見えないんならずっと一緒でいいもんね。
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