A sweetheart is a ghost
歩きながら喋るといい独り言だから黙って俺の話を聞いておけという潤一。

わたしは頷きながら一方的に喋る潤一の言葉を聞いていた。


「俺が見えるってこと、誰にも言うなよ。言ったら俺消えてしまうから。消えたくないしさ…。絶対言うなよ。あと、ゴハンはもちろん食べれない。だからトイレも行かない。でも体温はあるんだよな。俺もそのへんはよくわかんねーけど。」

潤一もわかんないんかよ!?

ツッコミを入れたかったけどここは電車の中。

言えるわけがない。

その時ホームに着いてドッと人が乗り込んできた。

いつもこのホームからはすごい人が乗って満員になる。

ギュウギュウの車内。

潤一は!?

そう思って横を見ると普通に居る潤一。

でも今乗り込んできたかさっきからいた人かわかんないけど…潤一と40代くらいのオヤジがだぶってる。

透き通ってるかのように潤一の中にいるオヤジ。

潤一がまるでいないかのように…。

驚いてそっちを見てるとオヤジと目が合った。

でもわたしは潤一を見てるの。

潤一も今の状態を見て


「俺、死んでるからこんななっちゃうんだわ♪アハハ。」


とか笑ってて…。

その姿見てわたし泣きそうになった。

本当に死んだんだって更に実感させられた気がしたから。
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