帽子を取ったら…
 今度は輝人が質問する。


「志穂嬢は、どうだったの?」


「私?」


「中学高校の時は、モテモテだっただろう?」


「そう、見える?」


「見える。マジ、モテたと思う」


 志穂嬢は思わず、苦笑いした。


「実際はその逆かな? 私も暗かったし、モテ子じゃなかったから」


「でも志穂嬢って、すっげーキレイだし」


「キレイなコって、他に大勢いたけどね。私は地味っコだったし」


「地味っコ」


 志穂嬢は立ち上がり、大きく背伸びした。


 フェンス越しから海を眺める志穂嬢の後ろ姿を、輝人はジッと見つめてみる。


 こんなに素敵な女性が、自分をダメだと決め付けちゃっている。


 自分に自信がないのだろうか?


 輝人は納得行かない思いだった。


 撮影したい思いに駆られ、愛用のカメラを手に取った輝人。

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