帽子を取ったら…
 バサッ…


 帽子が地面に落ちた。


 その場で足がすくんだ輝人。


 自らの頭をさらけ出し、志穂嬢はチョッピリ悲しげな表情で佇む。


「なるほど。そう言う状態なんだ」


 輝人は志穂嬢の頭を見てうなずいた。


 河童みたいに上の部分が毛が抜け落ちている志穂嬢の頭。


 禿げている部分の頭皮が、異常なまでぐらい赤く腫れ上がっているのだ。


 これでは、頭を人前に見せられないのも無理はない。


「ごめんなさい。これが、私の頭の状態なの」


 輝人は頭の腫れを覗き込みながら質問する。


「いつから、そんな状態に?」


「高校の時からよ」


「キッカケは何?」


「友達たちとフザけてて、頭を柱に強打した時かな? 頭のてっぺんにコブが出来ちゃって」


「それがキッカケで、腫れ物状態になったっつーワケか」


「うん」


「痛みとか、痒みとかは?」


「ない」



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