帽子を取ったら…
「原因は? コブが出来たぐらいで無茶苦茶腫れるなんて妙だ」


「原因は不明なの」


「それなりの治療とか、薬で治せねーの?」


「治る見込みはないって、先生は言ってた」


 こりゃ深刻だ。


 志穂嬢はずっと、この奇病と付き合って来たのだ。


 これからも、こう言う状態のままなのだろうか?

「何て事だよ? 君のような可愛いお嬢様が…」


 輝人は暗い気分になり、ため息付いた。


 他人事なのに、まるで自分の事のように憤りを感じてしまう。


 それだけ輝人は、三村志穂を好きになったって事かもね。


 志穂嬢が悲しげに言う。


「嫌なら…、私との関係…、無かった事にしてもイイけど…」


 今の、弱気なセリフに輝人はア然となった。


「薮から棒に、なんだよ?」


「こんな状態の頭を見て、輝人もきっと…私を避けると思う」


「なーんでそう、勝手に判断するんだ?」


「私はね、今まで色んな男の人と出会って来たの。でもみんな、この頭を見て気が変わってしまって…」


< 18 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop