帽子を取ったら…
 里奈らしくない不機嫌な態度に、輝人は首を傾げるばかりだ。


 赤万が里奈が座っていた席に腰を下ろす。


「三村さんと付き合っている事を、双木さんに話したの?」


「おお、話した」


「あーッ、ちゃー」


 ガックリと肩を落とす青島と赤万。


「何だよ? イケなかったか?」


 青島がアドバイスする。


「志穂嬢と付き合うのは村瀬の勝手だけどよ、アイツには注意すべきだよな」


「アイツって?」


「双木だよ双木」


「双木が、どうした?」


 ハッキリとした状況が分からない輝人に、赤万が話す。


「双木さんも、君の事が好きなんだよ。気付かないか?」


「いいや?」


 赤万も青島も情けない顔をした。


「鈍いな君も」と赤万は呆れ顔。


 青島に至っては、こんな口が出ちゃった。

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