帽子を取ったら…
 志穂嬢の存在自体が、もうウザったくて仕方がなかった。


 男子部員から可愛がられている志穂嬢は、里奈から嫉妬の念を向けられていた。


 しかも…


 ずっと思いを寄せていた村瀬輝人を取られてしまい、里奈は悔しくて悔しくて仕方がない。


 そんな里奈の心境を、志穂嬢は十分分かっている。


 辺りを見回す志穂嬢。


「里奈ぁー、来たわよぉ。どこにいるのぉ? 隠れてないで、出て来なさいよー」


 里奈は既に、ココへ来ている事ぐらい察知している。


「隠れているなんて、へんな言いがかりはよしてよねー」


 背後から里奈の声がした。


 振り返ると、厳しい眼差しでこちらを見る里奈の姿が有った。


「話しって何?」


 志穂嬢は少しばかり、緊張して来た。


 里奈は腕を組み、志穂嬢を睨み付ける。


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