静かな海の兄き
病院の出口付近に来ると

男の子は

やっと翔の手を離した。

翔は

離された右手を 左手でおさえて

男の子を見た。

振り向いた男の子は

「俺 宏史。
お前は?」

柔らかな笑顔でそう言った。

「あ…翔…です。」

その

宏史の見た目に

まだなれていないのか

翔は

若干緊張気味に答えた。

「ふーん…。」

宏史は

そう言いながら

翔を上から下までジロジロと見る。

な…なんなんだよ…

早く解放されたいと願っている翔。

「お前 年いくつだよ?」

翔をジロジロ見ながら聞く宏史に

「17です。」

翔は短く答えた。

だから…
なんなんだよ~…
いい加減 勘弁してくれよ~

翔の心の叫びに気づいたのか…

宏史は

やっとジロジロ見るのをやめた。
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