静かな海の兄き
フェンス越しに見えるグラウンド―

全ての部活が終わっているのか

生徒の姿は見えず

静まりかえっていた。

「ここ…
俺が通ってた高校。」

グラウンドを見つめる翔の隣に立ち

少し

寂しそうに言う宏史。

「通ってた?」

宏史の言い方が

過去形なのに気づいた翔は

すぐに聞き返した。

「そ。
通ってた。」

にっと笑い

答えた宏史。

「んだよ。
別に問題起こして 辞めさせられたんじゃねーぞ。」

「ええ!?
別に そんな事思ってないよ!」

宏史をじっと見つめたまま

言う言葉がみつからなかった翔。

微妙な間に

宏史が勘違いして弁明したらしい。

「そっか。なら いい。」

納得した宏史は

また 笑顔を作り グラウンドに目を移した。

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