静かな海の兄き

「俺…養子なんだって…」

「えっ！？」

突然の宏史の告白に

翔は

体ごと宏史の方を向いた。

「双子だったんだって…。
腹ん中で もう一人の方に栄養取られて

ものすごく弱く産まれたらしい。」

眉を“へ”の字にして宏史を見る翔

そんな翔に

優しく微笑むと

宏史は

話を続けた。

「３つまでは、そこにいたらしい。

けど

静かな環境と空気のきれいな所で養生させた方がいいって…

それで 今の両親が」

《うちで引き取って
育てたい》

「…て 申しでたんだって…。」

淡々と話す宏史だが

翔には

辛そうにはなしているように見える…

「結構もめたらしいけど…
結局…養子に出された訳だ。」

また

優しく微笑む宏史

「宏史…」

翔は

名前を呼ぶ事しかできなかった…