静かな海の兄き
「弟…は…?」

なぜか

おそるおそる聞く翔。

「会ってみてぇ。」

宏史は

そう言って 翔の頭を撫でた。

とても 愛しそうに…

その宏史の答えに

翔は

なぜか ホっとし

やっと 笑顔を見せた。


そして

翔は また海に目を移した

その時―

「翔。
お前に会えて よかったよ。」

翔の耳元で聞こえた
宏史の声…

「なに言って…」

振り向いた翔

だが…

「宏史!?」

そこに いたはずの

宏史の姿がない。

「宏史!?
どこ行ったんだよ!?」

立ち上がり

辺りを見渡しても

どこにも

宏史の姿はない…。

「宏史っ!
宏史―――!!」

静かな浜辺に

翔の叫び声だけが響いた。
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