静かな海の兄き
宏史の部屋のドアを開けて

「ちょっと待っててね。」

伯母は そう言い

翔の元を離れ

クローゼットを開けた。

翔は

部屋の前で

目を見開き 口を開けたまま

たたずんでいた。


「2年前のだけど…
大丈夫かな?」

喪服を手に

翔の元へ戻って来た伯母は

「どうしたの?」

翔の様子が

少しおかしいのに気づいた。

「同じ…なんです…。」

目を見開いたまま

震える声で答える翔

「?なにが?」

伯母は

翔の言っている意味が分からない…

「ベッドの位置

机…テーブル…本棚…
なにもかも全部…

俺の部屋と同じなんです…。」

信じられないような顔で言う翔

伯母も

部屋を見渡すと

「そうなの…。」

一言

嬉しそうにつぶやいた。
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