静かな海の兄き
震える母を

ベッドに寝かせ

その母の手を握りながら

翔は

悶々とした気持を抱えたまま

時間だけが過ぎていった…



どれくらいの時間がたったのだろう

少し

うとうとしていた翔の耳に

玄関のドアが開く音が聞こえた。

えっ?誰…?

寝ぼけている翔の耳に

今度は

「翔?いるか!?」

会社にいるはずの、父の声が聞こえた。

「父さん?」

その声で

寝ぼけていた頭もはっきりした翔は

慌てて部屋のドアを開けた。


「母さんは?」

翔の姿を確認した父は

ネクタイをほどきながら聞く。

「寝てるけど…。」

部屋のドアを開けたまま

ベッドに目を向け

父に答えた翔。


「なにがあったんだよ?
母さん倒れるし
父さん帰ってくるし…」

沢渡氏に聞いた事を父にも聞くが…

「すぐに出かける。
お前も用意してこい。」

そう言って

翔の肩に手をおき

部屋に入ると

ドアを閉めてしまった。
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