三度目の正直 〜二度あることは三度ある〜
ここの自販機も変わってないな。


んん・・財布忘れた。


仕方ないから何も持たず近くの椅子に腰を下ろす。




「・・俺、また愛ねぇを守れなかったんだな・・・。


それどころか、また愛ねぇに迷惑をかけたなんて、


情けね・・・・。」



目線を下に下げると、動かない左手が事故の程度を俺に語りかけてくる。




「あ〜、やっぱここに居た。」

「・・愛ねぇ、どうしたの?」

「ほれ、財布。」


「サンキュー愛ねぇ、なんでこんな気が利くんだよ〜。」


「何年あんたと一緒に居ると思ってんの。」


愛ねぇはくすっと笑って俺の隣に座った。




〜〜〜〜〜っっ


愛ねぇがこんな近くに・・

普段ならなんでもない距離なのに、顔がかっかっしてきた。


頭も口もうまく回らない。



「あっ、あの、愛ねぇ何か飲む!?」


「ん〜じゃっ、オレンジ。」

「オレンジね、了解・・。」



俺は逃げるように愛ねぇの横を立ち上がって自販機に向かう。



愛ねぇの顔が見れないよ・・。






< 26 / 65 >

この作品をシェア

pagetop