三度目の正直 〜二度あることは三度ある〜
それから俺は、洗面台で髪をくしゃくしゃといじっていた。


愛ねえは顔が良いから、あの隣を歩くにはそれなりにカッコイイ男オーラが必要な気がして普段通りでは鏡の前から動けなかった。


鏡はいつも俺の自信を奪っていく。

俺、かなり自分の顔好きじゃないから、写真とかも嫌いだ。

自分の顔を見てると、どんどんと自信を失いかねないから。


そんな感じで鏡と格闘していると、鏡に映った愛ねえに、


「早く!」


と、蹴りを決められた。

愛ねえは人を待つのは嫌いなんだ。

俺は愛ねえを首を回して睨んだ。

性格よりもこの顔に似ていたかった。顔は全く違うのに性格はかなりそっくり。

俺も人を待つのは嫌いだ。



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