天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ
秋雨はすっかり夕の色香に参ってしまっていた。

思い出すのは、異世界で待たせている愛しの姫君の事。

(ああ…ごめん、姫…)

目先の色香に惑わされ、秋雨は心の中で姫に詫びる。

(アメルはいけない子です…姫というものがありながら…夕先輩に…夕先輩に…)

詫びつつも夕を抱き締める腕に力がこもる。

秋雨、完全に陥落。

夕の魅力の前にメロメロになってしまったのは、寧ろ秋雨の方だった。

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