天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ
確かに月姫の弁当から、唐揚げが一つ忽然と姿を消していた。

彼女は美味しいものは後に取っておく派なので、まだ唐揚げは手をつけずにおいた。

なのになくなっている。

「犯人は…この中にいる!」

推理小説の名探偵よろしく決め台詞を吐く月姫。

「まぁまぁ…夕の唐揚げ一個あげるからさあ」

事なかれ主義なのか、夕が月姫に唐揚げを一つ差し出すが。

「いえ!いけません夕先輩!こういう事はキッチリしておかないと!」

鋭い眼差しで面々を見渡す月姫。

と…。

「あ~…すまん」

それまで黙々と弁当を食べていた郷が口を開いた。

「唐揚げ取ったの、多分俺だ…」

< 44 / 141 >

この作品をシェア

pagetop