天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ
廊下を何気なく歩いていた月姫の肩を。

「!」

夕が突然掴む。

「びっくりしたぁ…何ですか夕先輩」

「しっ」

声を殺して、夕は先頭を歩く月姫の前に立つ。

手には護符。

「秋雨君、『実体のあるほう』は任せていい?」

「うん」

秋雨もまた、足元に魔方陣を浮かび上がらせて臨戦態勢。

「幽霊じゃなければ怖くないからね」

肩を並べ、月姫を庇うようにして眼前の暗闇を凝視する二人。

「ちょっ、ちょっと、何なの?」

ただ一人状況を理解できていない月姫の目の前で。

< 88 / 141 >

この作品をシェア

pagetop