先生と約束
またすぐに沈黙になった。
耐えれなかった私がとっさに出た言葉。
『先生、前に座ってもいい?』
『…だめ』
即答…
『えーっケチ』
『危ないから』
『ちゃんとシートベルトするから、
前の方が話やすいし』
ね?と言ってもダメの一点張り。
頬を膨らませて拗ねていると
プッと吹き出す声が聞こえて、前を見るとルームミラー越しに
こちらを見ている先生と目が合った。
『ふぐ』
と一言いい笑ってる。
『………』
ーまた同じこと言われた。
しかも笑ってるし…
もう、先生のばか。
そのあとはたわいもない話をした。
年齢は36歳だということを初めて知って、
私の倍ということにも驚いた。
結構年齢より若く見えるんだね。
あまりにも楽しすぎて、この日を境目に先生を意識するようになっていた。
意識しだしたとたん、
神様って意地悪だね。
全然先生と会わなくなった。