先生と約束

『お前、忙しい奴だね。いじけたり、開き直ったり、焦ったり、喜んだり』



最後にまたフッと笑ってこっちを見た。

今は、信号で止まってる。

だから先生はミラーからずっと見てる。


『せ、先生?それって貶(けな)してる?』



睨むようにみると、違うよ、と笑った。

じゃあ何?という目で見ると



『お前見てると飽きない。
変な意味じゃないよ』





もう一度じゃあ何?といいそうになったけど、止めた。

飽きられるよりはいいかも。

うん、多分気に入ってはもらえてるよね?

自分にとって都合いい解釈をした。














『せんせ?お願いがあるんだけど』

『…何?』

『…記念に写真……

一緒に撮ってほしいんだけど…』

『……』


ミラーじゃなく左後ろから先生を見た。
やっぱダメだよね、先生、返事ないし。

カメラはみずきちゃんが今回の作戦を提案してくれたときに用意したもの。

彼女いても写真ぐらいはいいでしょ?ってことになった。






『ダメ?』


『…カメラ持ってるの?』


『うん』






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