先生と約束
移動した教室は、机も椅子もなくて
絨毯が敷いてあってガランとした教室。
男子は寝転がりながら、なんやら楽しそうに話をしてる。
女子は私たちの他にもう一人いて
結構年配のおばさんだ。
『あんたら若くていいねぇ、
私はもう50歳前だから、みんなについていくだけで大変だよ』
年の割には若くて小綺麗な感じで
最近孫が産まれて、その孫に会いに行く為に免許を取りに来たらしい。
出入口のドアが開いて、
一斉にみんなの視線を集めた。
入ってきたのは背が高くて、
結構ガッチリした体格。
顔はある若手俳優を
思い出させるような甘いマスク。
さっきのおばちゃんも
あら、かっこいいわね。
なんて見惚れてる。
『もうみんな来てる?』
『来てま〜す』
今日入学式に遅刻してきた男の子が答えた。
『ぢゃぁ始めよっか。
今からは人工呼吸や心臓マッサージを
人形を使って実践していきます。
二人一組でするから…
そこの二人とそっちと…』
と適当にペアを決め始めた。
私とペアになったのは眼鏡をかけた男の子で爽やかなイメージ。
歳は同じぐらい。
周りを見渡すと私たち以外は同性とペアを組まされていた。