初恋ディジー
第一章
始まりの雨
――カリカリッ……
ある日の放課後、
シャーペンがノートの上を走らせる音が静かに鳴り響く。
誰も居なくなったその教室で、私はひとり
日誌に視線を落としていた。
クラスには必ずといってもいいほど居る“鈴木”と“佐藤”の名前がふたつ。
黒板の右下――
日直欄のところに並んでいる。
「何だ、佐脇。まだ残ってたのか?」
名前を呼ばれてふと顔をあげると、教室のドアの前に驚いた顔をした学年主任が立っていた。
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