初恋ディジー


「アンタって本当に最低!」


そう言いつつも、怒った顔からは少しだけ嬉しそうな表情が感じられる。


「じゃあ、俺は本山さんの前にしようかな」

と小沢くん。


「麻有は二番目にしなよ。男子に触れられるよりは、自分から触れる方がいいでしょ?

私が麻有の後ろになってあげる」


「うん、ありがとう!」


その気遣いに、改めて希沙ちゃんの優しさを感じた。


「俺が一番前か……でも、残り物には福があるって言うよね」


高木くんは残りのみんなの名前を埋め、フッと笑った。



――体育祭に福なんてあるんだろうか?
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