初恋ディジー


「あ……膝が……」


立ち上がった高木くんの足を見ると、左膝にすり傷を負っていた。


「ああ、こんぐらい平気だって」


“気にしないで”と言いながら、膝の砂をはたく。


「平気かもしれないけど、バイ菌入るから今すぐ洗った方がいいよっ!絆創膏持ってるから洗ったら貼って」


ズボンのポケットに入れておいた絆創膏を、無理矢理高木くんに渡した。


「佐脇さんって本当に優しい。こんな俺のことなんか心配してくれちゃってさ」


「誰とか関係ないよ。怪我してる人を見たら放っておけないでしょう?」


私がそう言うと、高木くんは小さく頷いた。

< 143 / 393 >

この作品をシェア

pagetop