初恋ディジー
「――榛名本人だよ」
キョトンとしていた私は
そう言った希沙ちゃんに“え!”と顔を向けた。
「榛名くんって……今の声が?」
さっき聞こえてきた声は、いつも穏やかで優しい彼からは想像もできない力強さを持っていた。
だからそんなハズはないと思った。
「とにかくうちらも行ってみよう!」
さくらちゃんに手を引かれて、体育館前の男子更衣室へとやってくると、そこには既に生徒達の集りが出来ていた。
「あ!」
目の前の光景を見て思わず声をあげる。
二人が言うとおり、更衣室前にドサッと倒れた彼が榛名くんだったから。