初恋ディジー
――あ、そうだ。
私、まだ榛名くんにちゃんと謝ってないことがある。
「あ……あの……ごめんなさい」
ガーゼを元に戻し、榛名くんに頭をさげる。
「頭上げてよ。佐脇さんは悪くないって言ったばっかじゃん」
「そうじゃなくて、昨日のこと……榛名くん、家が反対方向なのに嘘ついて私のことを送ってくれたでしょう?」
「ああ、そのことか……俺が送りたかっただけなんだから、本当に謝んないで。
あんまり謝られると逆に俺が悪いことした気分になってくるし」
「じゃあ、もう言わないでおくね。ありがとう!」
私が笑って言うと、榛名くんは優しい顔で微笑み返してくれた。