初恋ディジー

「お、お手洗いに行きたいんだけどいいかな?」


「あー、うん。じゃあ、俺あのベンチに座ってるから行ってきなよ」


「うん」


私は女子トイレに駆け込むと、一番奥のトイレに入って鍵を閉めた。


「はあ……」


やっと解放された左手は、緊張のしすぎでさっき以上に汗ばんでいた。


「何回繋いでも慣れないな、こういうの」


一息ついてからその手をタオルで拭い、そしてじっと考え込んだ。


――友達同士で手を繋ぐものなのかな?

って……。


榛名くんはどう思っているか分からないけれど

私は榛名くん以外の人とはこういうことをしたくないと思っている。


……じゃあ、榛名くんは?
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