初恋ディジー
「私は大丈夫……だから榛名くんが使って?」
「何言ってんの。女の子を濡らして帰すわけにはいかないっしょ?それに俺は男だから濡れても平気!ほら!」
「……でも、やっぱり悪いよ」
差し出された傘をグイッと押し返すと。
「――あの時と同じだ」
榛名くんがフッと優しく笑った。
「初めて俺らが喋った日も、こうやって同じようなことしてたよな」
あ、言われてみれば……
「確かあの日も雨が降ってた……今さらだけど、あの後風邪ひかなかった?」
「うん、全然余裕だった。俺らってよっぽど雨に縁があんのかもしれないな」
と思い出し笑い。