初恋ディジー

「……でもね。いまだに一つだけ分からないことがあるの」


「何?内容によっては答えられないけど」


さくらちゃんは手を退けて顔を向ける。


「崎本くんのことを好きなのに、どうしてあんなに毛嫌いするような態度をとってたのかなって」


今までのさくらちゃんの崎本くんへの態度は、明らかに“大嫌い”という感じで。


「崎本くんだってそうだよ……」


崎本くんもさくらちゃんに、何かと挑発するようなことばかり口にしていた。


誰が見ても、互いに好き合っているなんて思いもしない。


だから初めて二人の気持ちを知った時、本当にビックリしたんだ。


「そんなことも分からないの?」


さくらちゃんはクスッと笑った後、ただひと言。


「大好きだから」

と答えた。
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