初恋ディジー

「おい!さくら!何ペラペラと喋ってんだよ!」


それまで榛名くんと話していた崎本くんの耳に、さくらちゃんの言葉が飛び込んできたのか

そう言って後ろからさくらちゃんの頭を軽く押した。


「いいじゃん、別にー。

それにね!アンタはいいかもしれないけど、私はすっごく恥ずかしかったんだからね!」


「……っ、俺の方が何倍も恥ずいっつーの!」


付き合っているのに、二人の会話はいつもと何ら変わらない。


けれど少しだけ違ったのは

崎本くんがさくらちゃんを呼ぶ時に“本山”から“さくら”に変わったこと……


「私達は見ての通りこんな感じだけど、そういうわけだから今後よろしくね!」


「うん」


今の方が二人らしくていいな、

ってそう思った。
< 216 / 393 >

この作品をシェア

pagetop