初恋ディジー

“知らなくていい”とか

“教えてやんない”とか……


そういう風に言われてしまうと、逆に気になりすぎて仕方ない。


「空って凄いよね」


座席に座りながら、雨の粒が電車の窓を濡らしていくのを見つめていると、榛名くんが突然そう呟いた。


「何処までも続いていて、みんな同じ空の下で生きてるじゃん?」


どうしたんだろう、急に。

何でそんなこと……


「――あ、ごめん。今のはナシ、聞かなかったことにしといて」


そう謝ると、榛名くんは再び前を向いた。
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